今年の秋、母と二人で旅行を計画している。
行き先は、父のルーツを辿る旅だ。
父が亡くなって11年。ずっと気になりながらも、なかなか踏み出せなかった場所に、今年こそ行こうと決めた。母が元気なうちに、一緒に行かなければ、という気持ちが強くなったから。
自分のことを話さなかった父
父の家系は、少し複雑だったようだ。自分のことをあまり話したがらない人で、母が聞いても、あまりいい顔をしなかったらしい。だから、父が生まれ育った場所のことは、断片的にしか知らない。
幼いころ、何度か父の実家に行った記憶がある。でも当時は子どもだったから、場所も雰囲気も、ぼんやりとしか残っていない。父がどんな子ども時代を過ごしたのか、どんな景色を見ていたのか——今になって、もっと知りたいと思う。
父は自分のことを多く語らなかったけれど、だからこそ、その場所に立ったとき、何か感じるものがあるかもしれない。
母の記憶を頼りに、父の生まれた場所へ
今回の旅の道案内は、母の記憶だ。
父と結婚してから何度か訪れたことがあるらしく、「たしか、こっちの方向だった」「こういう雰囲気の町だったよ」と話してくれる。完全には覚えていないけれど、その記憶の断片を繋ぎながら、二人で探していこうと思っている。
今は父と同じお墓に眠っている祖母だが、分骨されているお墓にも今回お参りに行く予定だ。父が幼いころに見ていたかもしれない景色、育った土地の空気を、私たちも感じてきたい。
私にとっても、母にとっても、人生の中で大切な旅になると思っている。
10年以上ぶりの飛行機、正直怖い
ただ、一つだけ不安なことがある。飛行機だ。
もう10年以上、飛行機に乗っていない。理由は単純で、怖いから。乗り物酔いをしやすいのもあるし、なんとなく体が緊張してしまう。心配性の母も同じで、「飛行機、怖いんよね〜」と笑いながら言っている。
でも今回ばかりは、飛行機でしか行けない場所だ。
「絶対に父が守ってくれる」——そう信じていくしかない。むしろ、父に会いに行く旅なのだから、父が一番安全に連れて行ってくれると思う。そう思ったら、少しだけ怖さが和らいだ気がした。
飛行機が怖いという方に聞いたら、「機内でお菓子でも食べながらぼんやりしていれば着くよ」と言われた。それくらいの気持ちで臨もうと思っている。
計画を立てる時間も、思い出になる
娘たちと夫はお留守番。2泊か3泊か、まだ決まっていないけれど、これから母と一緒にプランを考えていく。
「ここ行ってみたい」「このご飯食べようか」——そんな会話をしながら計画を立てている時間も、もうすでに旅の一部だと感じている。目的地を調べて、移動手段を確認して、どのホテルにしようかと悩む。その過程も、母との大切な時間だ。
写真もたくさん撮って帰ってきたい。母と二人で並んで撮る写真は、数える程しかない。今回はちゃんとカメラを持って行こうと決めている。
今だからこそ、できること
親孝行はいつかしようと思っていると、できないまま時間が過ぎていく。
父を見送ったあの経験が、私に教えてくれたことがある。「今できることを、今やる」ということだ。10年後、母が元気かどうかはわからない。飛行機に乗れる体力があるかどうかもわからない。だから今、行く。
今回の旅は、父を偲ぶ旅でもあり、母と私の絆を深める旅でもある。きっと深く、意味のある時間になる。旅から帰ってきたら、ここに書こうと思っている。
同じように「親と旅行したい」「親のルーツを知りたい」と思っている方がいたら、ぜひ動き出してほしい。後悔しないうちに、一歩を踏み出す背中を押せたら嬉しい。

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